俳優・伊勢谷友介(33)が、生誕100周年を迎える作家・太宰治の代表作を映画化する「人間失格」(来年初春公開、荒戸源次郎監督)に出演することが13日、分かった。俳優・生田斗真(24)演じる主人公をほんろうする悪友役。伊勢谷にとっては昨年のカンヌ国際映画祭で開幕上映された「ブラインドネス」以来の映画出演。英語のセリフから一転、日本を代表する純文学に挑む。
「人間失格」は鋭敏な自意識から人となじめず、酒や女におぼれていく葉蔵(生田)が主人公。伊勢谷は葉蔵と同じ画塾に通う6歳年上の“悪友”堀木を演じる。堀木は資産家の父を持つ葉蔵に金を頼り、一緒に酒を飲み、放蕩(ほうとう)を繰り返す。破滅していく葉蔵に影響を与える重要な役だ。
「堀木は豪快さと兄貴気取りで無垢(むく)な葉蔵をほんろうするが、実は繊細で嫉妬(しっと)深い」と製作側。「友情とも愛情ともつかない2人の関係が、本人の意思と裏腹に葉蔵と女たちの出会いを作ってしまう。けれんみと芸術性を兼ね備えた伊勢谷さんは、生田さんの兄貴分として時にコミカルに、時にクールに演じられる希有(けう)な俳優」と期待を寄せる。
伊勢谷は映画賞を総なめした03年公開「赤目四十八瀧心中未遂」の荒戸監督とは初のタッグ。「荒戸監督とご一緒させていただけることが大変光栄です。監督が描き出す太宰の世界で、主人公を思い切りほんろうしたい」と意気込む。
昨年カンヌ映画祭の開幕上映とコンペティション部門出品を飾った日本・カナダ・ブラジル合作映画「ブラインドネス」(フェルナンド・メイレレス監督)は世界78か国で公開。俳優デビュー12年目の今年は、全3回のNHK大型ドラマ「白洲次郎」(第3回は8月放送予定)でテレビドラマに初出演するなど大役が続く。
撮影現場では“瞬発力”を大切にするのが伊勢谷流。「海外か日本だとか、作品のテイストや役柄について前作との流れを意識したことがない。プレーンな気持ちで向かっているので、今回も与えられた役を大切に演じ、いつもと変わらない気持ちでトライしたい」と話している。クランクインは7月を予定。
◆映画「人間失格」 葉蔵(生田)は堀木(伊勢谷)とバーやカフェで飲み歩き次第に酒におぼれていく。カフェの女給と心中し生き残ってしまう葉蔵。たばこ店の娘と結婚し安息を得る葉蔵だが、堀木が久しぶりに訪ねてきた自宅で、思いも寄らない光景を目撃してしまう。原作は1000万部を超え、映画化は初めてになる。